「新築の内祝いに何を選べばよいのかわからない」と悩んでいる人は多いのではないでしょうか。特に上司などに贈る新築の内祝いは、気を使うことも多いですよね。また「どのタイミングで渡せばいいのか」「金額の相場は」「のしはどうやって書けばいいのだろう」など、いろいろ疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。そこで、知っておきたい新築の内祝いの基礎知識をわかりやすく解説します。
最終更新日:2024年12月6日
新築の内祝いの由来や贈るタイミング
一戸建てやマンションなど、新築の住居に住み始めたときに催されるのが新築の内祝いです。
このお祝いは、昔から続く日本の慣習のひとつで、新しい住居のお披露目を兼ねて自宅にゲストを招いておもてなしをすることです。
新築に住むのはめでたいこととされており、周りの人に幸せをおすそ分けする意味もあるとされています。
この新築の内祝いが行われるタイミングは、新居に住み始めてから1~2カ月程度です。
引っ越しも完了して生活もだいぶ落ち着いたときにゲストを招いて新居を見てもらい、パーティ形式での食事などをします。
新築の内祝いは、新築祝いの返礼品や手土産の意味で使われることもあります。
しかし、新築の住居をゲストにお披露目して食事などでもてなすこと自体が内祝いでもあるのです。
そのため、新築の内祝いのための品物を用意していなくても、マナー違反とはなりません。
新居の内祝いを贈るのは、遠方に住んでいてお披露目をすることができなかった人に対してです。
また、軽食やお菓子などで簡易的に内祝いをした場合には、自宅に来てくれた人に手土産を渡す場合もあります。
新築祝いとして高額の贈り物を贈ってくれた人に対しても、新築の内祝いを贈るのがマナーです。
とはいっても新居のお披露目当日に予期せず手渡されることもあるため、すぐに内祝いを渡せないこともありますよね。
このような場合には、後日改めて内祝いを贈ってもかまわないとされているのです。
基本的に内祝いは、新築のお披露目のタイミングで渡します。
ただし、それより前に新築祝いをもらうケースもあります。
このようなときは、お礼状やお礼の電話を当日もしくは翌日までにするのがマナーです。
新築のお披露目に来ない人や呼ばない人なら、必要に応じて内祝いの品をあまり日を空けずに送りましょう。
新築の内祝いの相場はいくら?
「新築の内祝いの品物はいくらぐらいが相場なの」と悩む人も多いのではないでしょうか。
しかし、基本的に相場は相手からの贈り物次第です。
新築の内祝いの相場は貰った品物の3分の1~半額程度といわれていいます。
なぜこうした相場になっているかといえば、相手の気を使わせないためです。
人生で最も高い買い物といわれる住居を新築・購入した相手から高級品を返礼されたら、誰でも心配になってしまいますよね。
現在の新築祝いは、何かと入用な新生活スタートをサポートしてあげたい気持ちが込められていることも多く、このような相場となっています。
とはいえ、おおまかに内祝いの価格の目安を紹介します。
手土産としての内祝いは1000円程度が人気です。
また、手土産もしくは新築祝いの返礼として売れ筋なのは3000円程度となっています。
年上の親戚や上司などに対しては5000円程度の少し高級な品物が選ばれているようです。
そして、高額の新築祝いに対しては1万円、3万円、5万円と段階的に価格が上がる傾向にあります。
両親や親戚などからは新築祝いとして数十万円の現金を手渡されることもあります。
こうした場合には、3分の1~半額程度の相場にこだわることはありません。
もともと援助金として渡しているお金であることが多いでしょうから「大切に使わせてもらいます」と感謝の気持ちを伝えるだけでもよいのです。
あまり高級な内祝いを贈ると、無駄使いと思われ、相手の気持ちに沿わないことになりかねません。
最終的にはケースバイケースですが、こうしたお祝いに対して内祝いを贈る場合、お祝い金の10%を上限とする考え方もあります。
連名で新築祝いをもらうこともありますよね。
この場合の内祝いの渡し方は2通りです。
1つはもらった品の金額の半額相当を人数で割り、それぞれにその金額の品物を内祝いとして贈る方法です。
もう1つは、一括で品物を渡す方法です。
この場合は、相手が分けやすいように、個別包装された食べ物などを選びましょう。
新築の内祝いののしはどうすれば良い?
どんなに相手に喜ばれるギフトを選んでも、新築の内祝いののしがマナー違反ではすべてが台無しになってしまいますよね。
基本的なマナーを押さえておきましょう。
まずは水引の選択です。
新築の内祝いののしには金銀または紅白の5本か7本の蝶結びを選ぶのが原則です。
ただし、地域によって少し風習が違う場合があるようです。
できれば地元の事情に詳しい人に事前に相談しておくとよいでしょう。
新築の内祝いののしですが、表書きは「内祝」か「新築内祝」、「新居内祝」のいずれかにします。
そして、のしの下側には贈り主の性、もしくはフルネームを書きます。
フルネームの場合、世帯主の氏名を書くのが一般的です。
こうした作業を自分でやるのに自信がない場合は、のしを書いてくれるお店もたくさんあります。
また、簡易的にのしをプリントアウトできるウェブサイトを利用するのもよいでしょう。
プリンターと紙さえ準備すれば、内祝いの種類や氏名などをテンプレートに従って入力するだけで簡単に作成可能です。
正式なのしにこだわらなくてもよい場合に、利用してはどうでしょうか。
ちなみに、新築の内祝いになぜ蝶結びを選ぶかというと、蝶結びが何度も結び直せるということから「幸せが繰り返し訪れるよう」にという気持ちがこめられているからです。新築の内祝いの他には、出産の内祝いでも用いられています。一方、結び切りは一度結んだらほどけません。こうしたことから、結婚の内祝い、病気見舞いなどで使われます。水引ひとつにもマナーがあるので、新築の内祝いでは間違えずに蝶結びを選びましょう。
また、のしのかけ方については、「内のし」が一般的です。内祝いのような、控えめに渡す贈りものには、内のしで準備しましょう。
新築の内祝いの定番ギフトは何?
新築の内祝いを選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。
あまり個性が強い物を選ばないこと、食べ物の場合には日持ちがするものを選ぶこと、あっても困らない日用品や雑貨を選ぶこと、などです。
これらの条件を満たしているものが、新築の内祝いの定番ギフトと呼ばれています。
1つ目の定番ギフトはタオルです。
タオルでもバスタオルでもよいですがあっても困りませんし、今治タオルなど、上質なタオルなどを贈られれば嬉しいものですよね。
ここで重要なのは、あまり派手な色や柄を選ばないことです。
品物の種類だけでなく、デザインや柄でも個性が強い物を避けるのが無難といえます。
賞味期限の長いお菓子やコーヒー、紅茶、お茶なども定番ギフトです。
特に個別に包装されていて、相手のペースで消費できるものが人気が高いといえます。
また、相手の味の好みがわからない場合には、いろいろな種類がセットになっている物を選べば失敗が少ない、というのもメリットといえます。
カタログギフトも新築内祝いとして人気です。
なんといっても数多くの品物のなかから、好きな物を相手に選んでもらえるので、贈る側があれこれ悩む必要がないというのが人気の理由なのでしょう。
相手の趣味や好みがある程度わかっているなら、北欧インテリアギフト、日本名産品ギフトといった、特定の分野が充実しているカタログギフトを選ぶのもよい方法です。
新築内祝いには、他にもスイーツが人気です。何を贈ればいいのかわからないときには、カタログギフトもおすすめですよ。
本来の内祝いとは?
ギフトを贈ることが新築の内祝いとされる機会も多くありますが、そもそもの内祝いは、新居の世帯主が両親や兄弟、親戚、お世話になっている人など身内の人たちを招き、食事やお酒などをふるまうものでした。
こうした集まりは、幸せをおすそ分けするという日本の文化、慣習が元になっていて、結婚や出産、病気が治った場合などに行われてきました。
ちなみに、新築でない場合には引っ越し祝いとなり、新築の内祝いと区別されています。
新築をお披露目するのは、転居してから1~2カ月後のころです。
この時期となると、引っ越しから一段落ついており、家具やインテリアも整っていますよね。
そのタイミングで家族や友人、会社でお世話になっている人を呼ぶことになります。
また、この時期となると新居が完成したことを周囲の人が知っているので、新築祝いが続々と贈られてくることもあるでしょう。
新築祝いを贈ってもらった人を新築のお披露目に招待するのがマナー、とする考え方もあるようです。
貰った新築祝いは見える場所に飾ったり、使ったりしていると相手に喜ばれます。
たとえば、花瓶を贈られた場合には花を活けて飾っておいたり、コーヒーメーカーを贈られた場合にはそれを使ってゲストにコーヒーをふるまったりするなどです。
こうした心配りをすることで、贈り主への感謝も伝えることもできます。
新居へは遠方から親戚がやってくることもあります。
こうした場合には、やはり、手土産のひとつも渡したいところですよね。
帰る間際に1000円程度の手土産(引き出物)を渡すのも一般的に行われています。
また、夕食とお酒をふるまったり、パーティを開いたりするのではなく、簡易的に新築のお披露目をした場合にも、手土産を渡すことで形が付く場合もあります。
ただし、こうした場合では、結婚式の引き出物のようにメモリアルな品物ではなく、日用品やお菓子など無難な物を手渡すのが一般的です。
贈る相手別の内祝いの選び方
新築の内祝いを贈るには、両親、兄弟、親戚、上司と、それぞれ相手にふさわしい物、喜びそうな物を贈るのが基本です。
自宅に呼ぶぐらいに親しい仲でしょうが、やはり選び方には気を付けたいところですよね。
相手別の内祝いで定番とされている贈り物は以下のとおりです。
両親の場合、シンプルなデザインの高品質な生活雑貨などが向いています。
たとえば、カップやグラスなど日常的に使えて、なおかつ、少し上質なものが喜ばれるようです。
また、タオルやシーツなどの日用品では、落ち着いた色やシンプルな柄などを選びましょう。
このような物が好まれる理由としては、あまり豪華な物やおしゃれな品のお返しをもらうと、両親が気を使ってしまうからです。
両親から高額の新築祝いを贈られるケースもよくあります。
これは子どもたちの新生活を応援したい、祝ってあげたいという気持ちからです。
そのため、贅沢なお返しをするくらいなら、新しい生活のためにお金を使ってほしい、と両親は思うでしょう。
こうしたことから、感謝の気持ちはしっかりと示しつつ、相手の気を使わせないシンプルなデザインの高品質な生活雑貨などが選ばれています。
兄弟に内祝いを贈る際は、直接本人に何が欲しいのか聞いてみるのもよい方法です。
兄弟なら気楽に聞いてもマナー違反にはならないでしょうし、相手にとっても嬉しい場合が多いのではないでしょうか。
たとえば食器が欲しい、子ども用のバスタオルが欲しい、など要望を聞いておけば、そのなかで相手が好みそうなブランド品の物を選ぶこともできます。
また、お酒やコーヒー、紅茶などにこだわりがある人なら好きな銘柄を贈ってあげれば喜ばれます。
親戚に対しては、お祝いの品の金額の3分の1~半分程度の価格帯のカタログギフトが人気です。
というのも、年齢が上の親戚や、それほど親しくなくてマナーを気にする親戚の場合、何を贈ればよいのか迷ってしまうことが多いからです。
カタログギフトなら相手が好きなものを選べるため、こうした心配はありませんし、相手にも喜んでもらえることが多いでしょう。
最近ではいろいろなカタログギフトがありますよね。
より気持ちを伝えたいなら、相手に合せてジャンルを選ぶのもよいかもしれません。
旅行好きの親戚には旅行のカタログギフト、おいしいものに目がない親戚ならグルメ中心のカタログギフトといったようにです。
上司に贈る内祝いは気を使うことも多いはずです。
上司への内祝いは、お酒やコーヒー、スイーツなど消え物と呼ばれる種類がよいといわれています。
上司の場合「がんばれよ」などの気持ちで新居を訪ねてくれたり、新築祝いを贈ってくれたりすることが多いはずです。
このような相手に対しては、素直に好意を受け取り相手を立てるという意味で、消え物がふさわしいとされています。
カタログギフトなどではやや返礼的な意味が強くなってしまいます。
贈る相手をイメージして内祝いを贈るようにしよう
新築の内祝いを成功させるポイントは「渡すタイミング」「金額の相場にあった品物を選ぶ」「のしなどのマナーを守る」「相手に合わせた品物を選ぶ」の4点です。ただし、本来は新居をお披露目して食事やお酒をふるまうのが新築の内祝いです必ずしも手土産などを用意する必要がない場合もあります。
贈りものや贈り方には、タブーがあるので、そういったことも事前に把握しておくことが大切です。これらのポイントを押さえたうえ、相手に喜んでもらえる内祝いを贈りましょう。