これから出産祝いの内祝いを贈ろうと準備をしている人の中には、命名札をつけたほうがよいのかどうか、気になっている人もいるかもしれません。
命名札は日本に古くから残る慣習ですが、そもそも命名札がなんなのかを知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、命名札とは何かという解説と、命名札の書き方やつけ方、マナーについても紹介します。
最終更新日:2023年9月5日
命名札って何のこと?
命名札というものを、聞いたことがあるでしょうか。
出産の内祝いを準備するときに初めて知った人も多いかもしれません。
命名札とは、赤ちゃんの名前を短冊状の紙に書いた札のことです。
日本の古くからの慣習で、子供が生まれて7日目に命名札を神棚や床の間に貼りつけて、赤ちゃんの名前をお披露目し、子供の健康と成長を願うという意味がありました。
現在は、その慣習が残っている地域は少なくなりましたが、地域によっては近所や知人や親戚の赤ちゃんが生まれたら命名札をいただき、家に貼るという習慣が残っています。
貼る場所は家の中の目立つ場所で、台所などが多いようです。
身近な場所に貼ることで、毎日眺めて生まれた子供の名前を覚えるという意図もあるそうです。
地域によって慣習の細かい中身は違いますが、古くは生まれて7日目の「御七夜」という儀式で、身内へ赤ちゃんをお披露目する際に、命名札を渡していました。
現代では、そのような儀式を行うことも少なくなり、直接命名札を渡すという習慣はあまり聞かれなくなりましたが、出産内祝いを贈る際に命名札を添えてお渡しするという形で残っていることが一般的です。
そのため、内祝いを用意する際には、お店などから「命名札はどうしますか?」と聞かれることもあるかもしれませんので、突然聞かれて困ることがないように、頭にいれておいたほうがよいでしょう。
ただし、命名札が現代に残っている地域は、主に北海道や四国・中国地方の一部、九州の沖縄地方だと言われています。
そのため、地域によっては、年配の人であっても「命名札ってなに?」と初めて聞く人もいれば、昔から自宅に貼ってあるというように、生活に馴染みがある人までさまざまです。
全員が知っている慣習というわけではなく、ある程度地域によって事情が異なることを理解しておいた方がよいかもしれません。
命名札は省略しても良いの?
命名札は日本の古いしきたりですが、現代ではその習慣も薄れ、省略されることも多くなってきました。
地域によっても、命名札を贈ることが一般的な地域と、もともとその習慣のない地域があります。
若い世代では命名札の存在そのものを知らない人も増えてきているため、特に命名札を贈らなかったからといってマナー違反になるわけではありません。
基本的には、夫婦二人の出身地の慣習に合わせて判断すればよいでしょう。
しかし、内祝いを贈る相手の年代や地域によっては、命名札を家に貼る慣習が残っている場合もあります。
年配の人の家などでは、親戚の子供たちの命名札がずらりと並んでいることも。
命名札が増えていくことはおめでたいことなので、知り合いに子供が産まれたら、もらうことを楽しみにしている年配の人もいます。
どの家にどの子供がいるのかという名前を覚えておくためにも、大切な習慣だと思っている人もいるでしょう。
そのため、相手側の慣習を大切に考え、贈る相手によってどのような慣習があるかを先に確認しておくほうがよいでしょう。
一定の地域性もあるので、両親や親戚などにあらかじめ聞いておいてもよいかもしれません。
逆に内祝いに命名札を入れることで、失礼になることはあまりないと考えてよいでしょう。
命名札の習慣のない相手でも、贈って失礼にあたることはないため、命名札を贈るかどうか迷った際に、念のためと考えて贈ったとしても、特に問題はありません。
また、命名札を省略する場合でも、お祝いを贈ってくれた人には、赤ちゃんの名前のお披露目はしておいたほうがよいでしょう。
できればメッセージカードなどで赤ちゃんの名前を報告しておくことはお祝いを贈ってくれた人への礼儀でもありますし、お祝いを贈った側にとっても、赤ちゃんに対する親しみが湧き、次に会った場合にも子供の名前を呼びやすくなるのではないでしょうか。
今後のおつきあいをより円滑にする意味でも、命名札をつけるかどうかにかかわらず、子供の名前は報告しておきましょう。
のし紙をつけるときには命名札はどうすれば良い?
出産内祝いに命名札をつける場合には、のし紙をどうするかについて迷う人もいるかもしれません。
のしをつけることは、日本の古くからのマナーで、正式な贈り物には水引とのしを一緒につける習慣があります。
現代では水引とのしが一緒に印刷されたのし紙が増えてきて、出産内祝いでもそのようなのし紙が使われることが多いです。
ですから、命名札をつけてもつけなくても、出産の内祝いを贈るときには、のし紙はつけるのが通常と考えてよいでしょう。
そのため、出産内祝いにはのし紙と命名札の両方をつけることになりますが、そのつけ方にはいくつかの方法があります。
のし紙と命名札を両方つけるときには、名前の書き方や添え方はどのようにすればよいのでしょうか。
名前の書き方には地域ごとの違いもありますが、多くの場合は、のし紙と命名札の両方に赤ちゃんの名前を書いても問題はありません。
命名札は、中央に赤ちゃんの名前をフルネームで記載することが多いです。
名前は、読み方が複数ある漢字もあるため、ふりがなをつけたほうが、より親切ですね。
これらは一般的な書き方ですが、命名札とのし紙の書き方には地域によって多少の違いがあります。
のしには名前を書かない場合や、命名札には苗字を書かずに名前のみ書くなど、地域によってさまざまなバリエーションがありますので、確認が可能な場合には、同じ地域の両親や親戚などに事前に確認しておくとよいでしょう。
近くに聞ける相手がおらず不明な場合には、一般的な書き方でも特に問題はありません。
命名札の添え方については、のし紙の左側に、はがれないように貼りつけるのが一般的ですが、地域によっては、のしの下に挟んだり、箱の中に入れたりする場合もあります。
しかし、贈り物の中身によっては、箱の中に入れるのは難しいこともありますので、見落とさないように、のしの左側に貼る方法でもよいでしょう。
添え方や書き方はバリエーションがありますが、命名札をつけるからといってのし紙を省略してしまったり、名前を未記入にしてしまったりすることは失礼にあたりますので、やらないようにしましょう。
命名札にはどのようなデザインがあるの?
命名札の伝統的なデザインは、短冊状の白い紙の上下に赤いラインが入っているもので、上部に「命名」と記載があり、中央に子供のフルネームを筆書きで記入し、子供の生まれた日を左側に書くのが基本的なスタイルです。
札の下部には、富士山や鯛、鶴など縁起のよいイラストが描かれていることも多くあります。
現代の命名札は、これらのデザインにこだわらず、カラフルでポップなものも多く出ています。
赤ちゃんのイラストやコウノトリのイラストなどが添えられているものや、赤ちゃんの写真が入れられるものもあります。
また、短冊型ではなく、メッセージカードのような二つ折りのものや、横長のものまで、バラエティも豊かになっていて、命名札と挨拶状を兼ねているようなデザインのものも増えています。
それにともなって、伝統的な方法にこだわらない贈り方も増えています。
どのようなデザインの命名札を贈ればいいかは、贈る相手の地域や年代にもよります。
贈った相手が家の中に命名札を貼る習慣がある場合には、バラバラの大きさの命名札が届くと貼り方に困ることもありえますので、慣習にしたがって短冊状のものを選ぶほうがよいでしょう。
また、写真入りに関しては、喜ぶ人もいる一方で、子供のいない家庭などでは、気にしてしまう人もいるので、注意が必要です。
さまざまな考え方や事情を抱えた人がいることを考えると、写真入りは親戚などの血縁関係者など、身近な範囲にとどめる方が賢明かもしれません。
しかし、もともと命名札を贈り合う習慣がなかったり、形式や伝統にこだわらない相手に贈ったりするのであれば、自分の好きなデザインのものを選んでみてもよいのではないでしょうか。
命名札はどこで販売されているの?
それでは、命名札を購入するには、どこへ行けばいいのでしょうか。
結納屋と呼ばれるのしを書いてくれるお店が近くにある場合には、そこで購入すると筆書きで名前を記入してもらえます。
インターネットでもそのようなサービスがあります。
また、ギフト用品を扱うデパートなどのお店や、赤ちゃんグッズを取り扱っているお店では、内祝いを扱うことも多いため、命名札を用意しているところもあります。
お店によっては、名前を筆で書いてくれるサービスがあるところと、ないところ、プリントするところなどさまざまな対応がありますので、確認が必要です。
また、インターネットでギフト用品を手配できるカタログギフトサイトでは、のし紙や命名札をオプションで指定することが可能なショップもあります。
命名札のデザインにこだわる場合には、文具店で好きなデザインを選んでもよいでしょう。
また、得意な人は自分で作成することも可能です。
パソコンでデザインしてプリントアウトする方法もあります。
たくさんの種類のかわいいテンプレートが揃っていたり、プリントアウトできる専用用紙もあったりして、オリジナルな自分だけの命名札を作ることができるため、挑戦してみてもよいかもしれません。
これらの場合には、筆書きは自分でおこなう必要がありますが、書道が得意な身内に書いてもらうなどすると、思いもこもって記念になるかもしれませんね。
字に自信がない場合には、パソコンでフォントを選んで印刷する方法でも問題ありません。
特に贈る枚数が多い場合には、手書きにこだわらず、プリントアウトにする場合もあります。
命名札にこだわりを持ちたい人から、あまり手間をかけられない人まで、さまざまです。
出産後の内祝いを準備する時期は、子育てが始まったばかりで何かと忙しいので、自分に無理なくできる購入方法を選ぶのがよいのではないでしょうか。
自身が命名札を頂いたらどうする?
命名札を自分がいただいた場合には、どのようすればよいのでしょうか。
もっとも一般的な方法は、台所や客間などに貼っておくことです。
目につく場所に貼っておくことで、子供の名前を覚えるという利点もあります。
相手が自宅を訪ねてくる可能性がある場合や、子供についての話題になる場合には、名前を忘れないように、しばらく貼っておくのがよいでしょう。
地域によっては、同じ場所に並べてたくさん貼ってある家もあります。
子供が生まれたしるしのおめでたいものなので、命名札が増えていくことに喜びを感じる人も多いようです。
命名札自体のデザインも豊富になってきているため、伝統的な札を並べる貼り方だけでなく、若い世代ではコルクボードや壁、冷蔵庫などにかわいらしくデコレーションしている人もいますね。
しかし、自宅環境や、生活スタイルによっては、あまり自宅に貼りたくないという人もいるのではないでしょうか。
命名札は必ずしも貼っておかなければならないというものではありません。
貼らなかったからいって、縁起が悪くなるようなものではなく、特に失礼にあたるわけではないので、無理して貼らなければと思う必要はなく、あくまでも自分がいいと思う方法でよいのではないでしょうか。
しかし、命名札がどんどん増えていく場合には、その後の処分や保管方法についても迷ってしまいますよね。
命名札を処分する時期はきちんと決まっているわけではありません。
何年も貼ってどんどん並べていく家もあれば、名前を覚えたら捨てる、貼ってある場所が埋まったら古い方から捨てるなど、人それぞれです。
処分の方法については、普通に処分する人もいる一方、どんど焼きや神社へのお焚き上げなど、縁起を重視する人もいます。
また、捨てずにハガキファイルやアルバムにまとめて保管しておく人もいます。
これといった決まりはないので、自分が負担にならない方法を決めておくといいのではないでしょうか。
命名札を付けるときには相手の慣習なども尊重しよう!
命名札を贈る慣習は、地方によっても違いがあり、だんだん少なくなってきています。
そのため、出産内祝いに必ずつけなければいけないものではありませんが、今でもその慣習を大切にしている人や楽しみにしている人もいます。
出産祝いを贈ってくれた相手の地域の慣習などを尊重して、命名札をつけるかどうかを判断することが大切です。
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