水引の由来を知ろう!
お祝いのときに贈るものに付ける水引。
目にすることはあるものの、そもそも水引とはどのようなものなのかはわからないという人も少なくないでしょう。
水引の起源は飛鳥時代に来日した中国王朝(随)の使者の贈答品に紅白の麻ひもが結ばれていたことだといわれています。
はじめこそ贈り物をまとめるために使われていたり、ちょっとした飾りとして用いられたりしていた「紅白の麻ひも」ですが、その後、宮中への献上品にも紅白の麻ひもを結ぶようにもなりました。
それを知った庶民の間でも水引が広まり、日本文化として定着していきました。
紅白の飾りは水引以外にも餅や花などにも用いられることがあります。
これは、めでたい、縁起がよい、という意味があります。
紅白の色には諸説ありますが、赤色が赤ん坊のことを指し、一方の白色は死や別れを意味しているといわれています。
人生というのは、赤ちゃんから死ぬまでの一つの流れであるということから、紅白の色をセットで使うことでお祝いの印にしているという説があります。
内祝いでの水引は結び切りにすることが基本ですが、そもそも内祝いとはおめでたい出来事があってお祝いをしてくれた人にお返しをすることです。
お返しは金銭であることもあれば、おかしやお酒などの場合もあります。
内祝いの「内」は身内のことを指しています。
なにかめでたい出来事があったときに、自分たちだけではなく家族みんなでそれを分かち合うことが内祝いの意味です。
水引の結び方の種類
水引にはさまざまな結び方がありますが、結び切りという結び方があります。
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これは水引を細結びにしたもので一度結ぶと解けず、「二度と繰り返さないでほしい」という思いが込められています。
他にも、蝶結びという結び方もあります。
花結びと言われる結び方は、何度も結びなおせることから「何度あっても嬉しい」という思いが込められています。
それぞれ、同じ水引でも結び方によって意味が全く異なります。
結び方を間違えて相手に贈り物をしてしまうと失礼になってしまうので確認してから渡すようにしましょう。
結び切りと蝶結びの使い分け
水引には、結び切りと蝶結びがあることを説明しました。
では、実際にはどのように使い分けるのでしょうか。
「二度と繰り返さないでほしい」結び切りは、結婚式での引き出物や結婚祝い、結婚内祝いや快気祝いや退院祝い、全快祝い、弔事全般に用いられます。
快気祝いの場合は「病気を延ばす」と受け取る人もいるので、のしなしにする場合もあります。
冠婚葬祭はできれば繰り返したくはない行事です。
一度きりで終わらせたい出来事での贈り物をする際には、結び切りという結び方をするのが一般的です。
結婚も確かに相手に恵まれるということは素敵なことですが、何度もするものではないでしょう。
人生に一回きりで、末永く幸せになってほしいという意味を込めて結び切りという結び方の水引を使います。
一方で「何度あっても嬉しい」蝶結びは、例えば親戚が出産して子どもが生まれた場合の出産祝いや出産内祝い、出生届けを出したという場合のお祝いにも蝶結びの水引を使います。
また、季節の挨拶であるお歳暮やお中元、進級や進学、新築祝いや引越し祝いなどのお祝いをする際にも、蝶結びの水引を使った贈りものをすることが一般的です。
結び切りと蝶結びを正しく使い分けて、失礼のない贈りものをしましょう。
結婚内祝いの水引の特徴
結婚内祝いの水引は紅白10本が基本的です。
小さなギフトなどの内祝いの場合には7本の水引を用いることもあります。
見分け方は「ほどけない結び切りで両端が上を向いた水引であること」です。
紐の本数は10本の他にも5本や7本や9本のものもあります。
結婚の場合に限っては5本の束が二つある、と考えて10本の水引を使います。
これは夫婦や家族の意味があるとも言われています。
紐の数は奇数が原則です。
贈り物に向かって右側が濃い色になるように結ぶようにしましょう。
たとえば、贈り物の大きさが小さくて、10本の水引ではあまりにも豪華すぎるという場合もあるかもしれません。
その場合には、7本の水引にしても構いません。
結婚というと家族の中でもとてもめでたい出来事です。
家族以外の人たちと喜びを分かち合うほか、身近な人ともそのお祝いをしますよね。
内祝いというのはそういった家族間でのお祝いのときにいただくことが多いものです。
結婚した幸せを家族と分かち合いながら、改めて結婚する2人が挨拶をしたり、お披露目をしたりするという場でもあります。
内祝いとはいいながらも、結婚式に招待している家族や親戚には、結婚式の際に引き出物を贈っている事が多いです。
この引き出物が「内祝い」を含んでいるので、改めて「内祝い」を贈る必要は無いという考えもあります。
この際の贈り物についても水引を付けますが、これもお祝いごと専用の水引を使用します。
また、結婚内祝いを贈る必要があるのは、日頃職場やプライベートでお世話になっている人や、親族でも結婚式当日に都合がつかないために結婚式に出席できないという場合です。
この場合の贈り物に付ける水引も本数やデザインを考えて贈る必要があります。
内祝いを贈ることで、結婚式にやむを得ず出席できなくても、少なからず幸せを分かち合うことができます。
贈り物が届くと嬉しい気持ちになるという人も多いでしょう。
内祝いは特に、親族間で贈られることが多いので、身内で幸せを享受できる機会を大切にしたいものです。
この場合の内祝いについては、結婚祝いとしてもらった金額のうち半分から3分の1を目安にして品物を選ぶのがマナーです。
3分の1以下だと相手に対して失礼になってしまう一方、半分以上の高価な物を渡してしまうのもマナー違反だと言われています。
もしも、相手にできるだけ良いものを渡したいと考えているのであれば、金額の半分程度の物品を選ぶということがポイントです。
内祝いで何を贈るか悩むという人もいるでしょう。
物によっては水引が付けにくい場合もあるのであまりにも小さいものや形がいびつなものについては箱に入れ直しするなどして工夫するようにしましょう。
内祝いで特に人気があるのがお菓子やタオル、コーヒーギフトなどです。
あまりにも個性的なものだと、もらっても嬉しくない場合もあるので好みが分かれないものを選ぶということがポイントです。
たとえば、具体的に物を選べないという場合にはカタログギフトなどを渡すという方法もあります。
カタログギフトであれば、その中から好きなものをお相手が選んで購入することができるのでどのような人にでも喜んでもらえます。
内祝いを渡す際は、のしやラッピングを忘れずに。
直接会って感謝の気持ちを伝えましょう。
のしはどのようにかければ良いの?
のし紙によっては左右の両端が裏面で交わることがあります。
こういった場合にはそのときの状況によってかけ方が変わるので注意が必要です。
たとえば、お祝い事であれば「慶事掛け」にするようにします。
結婚、出産などのお祝いごとの場合には、紙に向かって右側の端を上に交わるように掛けるのが慶事掛けと言われるかけ方です。
一方のお葬式などのようなお悔やみごとに渡す贈り物に付けるのしは「弔事掛け」と言われるかけ方にするようにします。
裏返した贈りものに向かって左側に位置するのし紙の端を重ね合わせるようにして掛けます。
かけ方のコツは裏返した贈り物に対して右なのか左なのかということです。
贈り物を裏返しせずに表にしたままのしをかけてしまうと逆のかけ方になってしまい失礼になってしまうので気をつけましょう。
また、もし直接相手に手渡しするなら外のしにするようにしましょう。
表書きがはっきりと相手にみえるため、渡しやすく相手も受け取りやすいです。
配送するなら中身が傷付くことがないようにするために内のしにします。
また、内のしは、包装紙を開けるまではどのような目的で誰から贈られてきたものなのか判別がつきません。
相手に「贈り物」という意識を感じさせたくないという場合や、あまり表立った贈り物をしたくないという場合に控えめな印象を与えるために内のしを選ぶこともあります。
地域によってのしのかけ方の習わしが異なるケースもあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。
熨斗(のし)は、昔は「長寿」や「繁栄」の意味がある干しアワビを薄く伸ばしたのしあわびを使っていました。
当時、アワビは貴重なもので高級品でした。
今でもアワビはそう簡単に食べられるものではなく、高級食材として扱われていますが、昔はそれがのしとして扱われていました。
現在ではそれが形を変えて、紙やのし袋に印刷するようになりました。
昔からお祝いごとには高級なものや貴重なものを渡すという風習があったということを考えると、水引やのしの文化が伝統的な日本文化であることがよくわかります。
のしも和紙を使っているものもあり、昔はお祝いごとというと「質の良いもの」や「貴重なもの」を使って相手に喜んでもらうという方法をとっていました。
今では和紙などは使わずに、水引も普通の紙にインクジェットで印刷されていることも多くなりました。
のしの書き方は?
引き出物の場合は、のし上に「寿」と書き、のし下には両家の苗字を書きます。
これから夫婦になる二人の名前のみでも構いません。
結婚内祝いの場合にはのし上には「寿」または「内祝」と書くのが一般的です。
文字はボールペンやシャープペンシルなどは使わずに、毛筆や筆ペン、サインペンなどで太くて濃い文字で書くようにしましょう。
草書では書かずに、楷書でしっかりとした字で書くようにしましょう。
渡す相手が多いという場合には、印刷してしまうという方法もあります。
のし下には結婚後の新姓の苗字のみ、または夫婦の名前のみの連名を書くのが一般的です。
職場の同僚や友人には分かるように旧姓を書き記したいという人もいるかもしれませんが、旧姓は「通称」になるので、のしには新姓のみを書きましょう。
結婚しても仕事を続ける場合は、旧姓のまま働いている人も多いでしょう。
どうしても旧姓を記したい場合は、贈りものの中に入れるメッセージカードに連名で書いたり、郵送する場合は送り状の送り主欄に旧姓を書き記すようにしましょう。
出産内祝いの場合は、紅白蝶結びの水引ののし紙ののし上に「出産内祝」もしくは「内祝」、下には赤ちゃんの名前だけを記入します。
内祝いを贈る両親の名前ではなく、赤ちゃんの名前を書くようにします。
それは、お祝いをくれた人に赤ちゃんの名前をお披露目するという意味合いもありるからです。
子供の名前には、必ずふりがなを振っておくようにしましょう。
用途別ののしの書き方と水引の使い分けについて、以下で詳しく説明しています。
結び切りの結び方を知ろう!
結び切りの結び方は以下のように行います。
1.右側に濃い色をおいて、水引を平らにします 2.交差させて、濃い色のほうを左上に引き上げます 3.白を濃い色の下へくぐらせて右上に引き上げます 4.ゆるまないように指先で押さえながら、白を濃い色の上から下へとくぐらせて結ぶ 5.両端を持ってしっかり締めます 6.両端を、適当な長さに切りそろえます。
上のほうで輪に結んでもよいです。
これは真結びとも言われる結び方で、いちばんオーソドックスな結び方です。
人生に一度だけで終わりますようにという願いが込められていて、一度結んだらほどけません。
結び直しもできないので結ぶ際には左右を間違えないように注意して結びましょう。
この他にも淡路結び、あわび結びともいわれる結び方があり、結び切りの変形として使われます。
しかし、流派によっては相生結びと呼ばれる結び方をすることもあるので注意が必要です。
どちらがいいのか迷ったときには結び切りにするようにしましょう。
水引の色の違いは何に影響するの?
水引の色の違いは祝儀袋の中に入れる金額に影響されます。
赤と白の水引の場合は1万円以下です。
金と銀の場合は1~3万円です。
また、水引の色は慶事と弔事で異なります。
慶事の場合には「紅白」や「金銀」、または「赤金」の組み合わせになります。
おめでたい出来事のときに渡すものなので紅や金が入っています。
たとえば紅白餅などもその一種ともいえますし、祝い事の際に準備する花なども赤を始めとする華やかなものが多いです。
もしもお店などで水引を買う際には、「お祝いごとだから紅や金がある方」「華やかな方」と考えておけば間違いはないでしょう。
弔事の場合には目立たない「白黒」を使うことが多いですが、最近では黄、青と白を組み合わせた水引もあります。
他にも銀、黒一色の水引もあります。
それぞれ、お祝いごとを意味する紅の色が入っていない水引なので見た目も落ち着いた印象です。
もし、お相手がキリスト教の方であれば水引は必要ないため、予め、どの宗教に属しているのか知っておくと水引の準備をしなくともよいという場合もあります。
もし、誤ってキリスト教の方に水引を付けてお渡ししても無礼にはあたりません。
また、神式の弔事に出席する際には仏式と同様の水引を利用しても問題ありません。
宗教の違いによって迷惑に当たるような作法ではないため、特に気にせずに使っても大きな問題にはなりません。
冠婚葬祭の他にもお見舞いなどで贈り物をするという際には地味な水引にしましょう。
その際に赤金のお祝いごと用の豪華な水引のついているものを渡してしまうと失礼にあたることもあります。
また、災害などのお見舞いで使うという際には、無地の水引のない白い封筒を使うのが一般的です。
「お見舞い」では地味な水引を選ぶということしか覚えていないと、「災害のお見舞い」の場面で黒や水色の水引がついた封筒などを選んでしまいそうになるかもしれません。
「災害のお見舞い」で使うというような場合には、一般的なお悔やみやお見舞いとも違う扱いになるので注意が必要です。
内祝いの水引は結び切りにしよう!
水引には歴史があり、古くから受け継がれてきた伝統的な贈り物をする際の作法です。
結婚式の内祝いの水引は結び切り、出産内祝いは蝶結びにすることが一般的です。
色や形などに気をつけて贈ることで相手にも失礼がなく、喜ばれます。
結び方をはじめとして、水引やのし紙の掛け方にもさまざまなマナーがあるため確認してから相手に贈るようにしましょう。