出産祝いを贈る時期
まず気をつけなければならないのが、出産祝いを贈る「時期」です。
いくらすてきな出産祝いを選んでも、贈る時期を間違えると相手やその家族に思わぬ迷惑をかけかねません。
出産祝いを適切なタイミングで贈るためには、以下で解説するポイントに気を付けてください。
出産祝いは、本来「お七夜」から「お宮参り」までの時期に贈るのがベストとされています。
お七夜は、赤ちゃんの名前をお披露目して健やかな成長を願うために、赤ちゃんの誕生日から7日目の夜に行われる儀式のことです。
また、お宮参りとは、誕生日からおよそ1カ月後に行う儀式で、赤ちゃんの健やかな成長を願うために行われます。
つまり、出産祝いは赤ちゃんの生後7日後から1カ月までの間に贈るのが一般的ということです。
しかし、最も重要なのはお母さんと赤ちゃんの健康にほかなりません。
時期を厳守しようとするあまりに、最優先すべき2人の体調への配慮を欠いては本末転倒です。
出産後は、思わぬ出来事も起こりえます。
出産直後は身内以外は避けて、母子の体調が安定した時期を見極めるのも重要です。
そのため、可能であれば赤ちゃんが健康かどうかを確認してから贈るようにしましょう。
母子ともに退院したことが確認できれば、なお良しです。
これらのことを踏まえると、出産祝いを安心して送ることができるのは、赤ちゃんの生後2~3週目ごろだといえます。
出産祝いを早めに贈るのはマナー違反?
出産への「おめでとう」を早く伝えたいという気持ちは、多くの人に共通しているはずです。
しかし、出産祝いを贈るタイミングに関しては、早ければよいというものではありません。
むしろ、早すぎる出産祝いはマナー違反であると胸にしっかりと刻んでおきましょう。
出産前に出産祝いを贈るのは、たとえどのような事情があろうともタブーといえます。
出産は、母子ともに命懸けです。
100%無事に赤ちゃんが誕生できるかどうかというのは、医師であっても確かなことはいえません。
出産前までは順調でも、急なトラブルに見舞われてしまうケースも考えられます。
たとえ「出産が無事に終わるように」との願いを込めたプレゼントであっても、出産前に出産祝いなどを贈るのは避けるべきなのです。
身内などの親密な間柄では、出産前になんらかの贈り物をすることもありますが、それはあくまで例外だと心得ておきましょう。
また、たとえば、贈る相手から「出産前に贈ってもよい」との厚意を示されようとも、相手の家族はそのように捉えない可能性はあります。
「出産前に出産祝いを贈るなんて、非常識な人だな」などという悪印象を相手の周囲の人々に与えないためにも、「出産祝いは出産後」を暗黙のマナーとして徹底しましょう。
はやる気持ちはひとまず抑えるのがベストです。
相手も自分も、そして周囲の人々も、一片の曇りなく「おめでとう」の気持ちのやりとりができるように守るべきマナーはきっちり守ることをおすすめします。
出産祝いを贈るのが遅くなってしまったら?
出産祝いを贈る時期は、早いのもおすすめしませんが、遅れるのも避けたいところです。
出産祝いを贈る時期は、赤ちゃんの生後7日後~1カ月後までの間と紹介しました。
赤ちゃんとお母さんの体調の安定を待つため、というのが理由の1つですが、それ以外にも合理的な理由があります。
それは、「出産内祝いのタイミング」に関連したものです。
出産内祝いというのは、出産祝いのお返しのことを指します。
一般的に、出産内祝いを渡すタイミングは赤ちゃんの出生後1カ月後、つまり「お宮参り」の時期です。
出産内祝いの時期が1カ月後ということなので、それまでに出産祝いが届いている必要があります。
出産内祝いを贈る時期よりも後に出産祝いを贈ってしまうと、受け取った側は再度出産内祝いを手配しなければいけなくなります。
出産内祝いは一度にまとめて手配するのが通常ですから、余計な手間をかけないためにも出産祝いは相当な時期内に贈るようにしましょう。
しかし、出産祝いを贈る時期にどれほど気を付けていたとしても、やむを得ず遅れてしまう場合もあります。
そんなときは、焦らずに、次に紹介する2つの方法のいずれかを選ぶのがよいでしょう。
1つ目の方法は、「ハーフバースデイや1歳の誕生日にお祝いを贈る」ことです。
出生後1カ月を過ぎてから出産祝いを贈って相手に手間をかけさせるのではなく、贈る時期をずらすことで、相手も気兼ねなく受け取ることができます。
2つ目の方法は、「時期を見計らって必要なものを贈る」ことです。
赤ちゃんのおむつや洋服のサイズが変わるタイミングを見計らって、そういった必需品を贈ると喜ばれやすいでしょう。
2つのうちどちらの方法を選ぶにせよ、遅れてしまったことに対するお詫びを添えることをおすすめします。
出産祝いを贈る際のポイント
贈る相手がたとえ親しい友達や親族だからといっても、最低限のマナーは守らなければいけません。
ここからは、出産祝いを贈る際に気を付けたいポイントを、シチュエーションごとに紹介していきます。
病院へ出向く場合
まずは、病院を訪問して直接出産祝いを渡す場合に気を付けたいポイントから紹介します。
病院へ出向くときに、やってはいけないことの筆頭が「事前に連絡などをせずに訪問する」ことです。
出産後はとにかく母子の安静が優先されます。
そんな大変なときに、連絡もなにもせずに病院を訪問してしまうと、 相手に多大なストレスを与えてしまいかねません。
事前連絡はもちろんのこと、訪問のお伺いに対する相手の許可を待ってから訪問しましょう。
お見舞いの許可を無事もらって、訪問の日が来たら、再度体調の具合を聞くのもマナーです。
出産後はただでさえ体調が不安定になりやすい時期です。
少しでも体調が悪く、訪問が母子の負担になりそうなら、訪問を延期するなどの心配りを忘れてはいけません。
また、訪問の時間帯も重要です。
早朝や遅い時間は避けつつ、母子のスケジュールを優先させることを念頭に置きながら、訪問の時間帯を提案、相談することをおすすめします。
病院への訪問を検討する際に気を付けたいポイントは他にもあります。
それは、病院自体のルールです。
病院によっては「家族に限る」などと面会者の範囲を制限しているところもあるため、本人に連絡をするより先に、病院に連絡をとって面会可能かどうかを確認しておきましょう。
実際に面会が叶ったときも、配慮すべきポイントはあります。
特に、相手が大部屋に入院しているときは、同じ部屋のお母さんたちにも配慮を忘れず、できるだけ長居しないようにしましょう。
個室だったとしても、長時間の面会は相手の体への負担になることがあります。
話したい気持ちは母子が落ち着いた後にとっておいて、相手の立場や体調を思いやったふるまいを心がけましょう。
自宅へ訪問する場合
自宅へ訪問する際に気を付けるべきポイントは、病院へ出向くときと共通している部分が多いです。
親しい間柄だったとしても、事前の連絡なしに突然自宅へ訪問するのはもってのほかといえます。
退院したとはいっても、お母さんの体調は決して万全ではありません。
それどころか、赤ちゃんのお世話などで疲労が積み重なっているケースのほうが多いでしょう。
そのため、出産祝いを贈るために自宅訪問の予定を立てたなら、訪問当日にも再度連絡してお母さんと赤ちゃんの体調を確認することが重要です。
お母さんと赤ちゃんに余裕がなさそうな場合は、自分から辞退や延期を申し入れるのも気配りの範ちゅうといえます。
また、訪問時はなるべく短時間でおいとまできるように予定を立てておきましょう。
訪問を歓迎してくれているとしても、人を自宅に迎えるのには準備も含めて大なり小なりの労力がかかります。
ただでさえ体力が衰えている出産後ですから、訪問がさらなる負担にならないように長居は避けましょう。
現金を祝儀袋に入れて渡す時は、ふくさに入れて持参するなど、渡す瞬間まで気を配っておくことが大切です。
品物を贈る場合は、熨斗(のし)を掛けて渡すようにしましょう。
衛生面も気を付けたいポイントです。
出産後はお母さんと赤ちゃん共に免疫力が弱い状態にあります。
母子をウイルスなどの脅威にさらさないためには、手洗い・うがいを徹底するなどの衛生面における気づかいはかかせません。
風邪などが流行っているときは、自分に自覚症状がなかったとしてもマスクを着用するなどスキのない防御策をとりたいところです。
郵送する場合
郵送で出産祝いを贈る際にも、いくつかの気を付けたいポイントがあります。
1つ目のポイントは、出産祝いが届く時間帯です。
出産祝いを郵送するタイミングによっては、相手の都合がつかずに受け取れないおそれがあります。
受け取れない場合は、受取り手側が再配達の依頼をしなければならないことが多いため、相手の手間を増やしてしまいかねません。
そういった事態を避けるために、出産祝いを郵送するなら、到着時間帯をあらかじめ相手に知らせておくようにしましょう。
相手の希望を聞いたうえで、到着時間帯を指定するのもおすすめです。
2つ目のポイントは「梱包」に関してです。
郵送での出産祝いにおいても、とにかく相手の手間や負担を減らすための気づかいがもとめられます。
必要以上に手厚い梱包は開封するのに手間がかかってしまうため、できるだけシンプルな梱包を選びましょう。
また、母子が実家に里帰り中の場合は、実家あてに郵送しても失礼にはなりません。
出産祝いの金額はどれくらいが相場?
ここからは、出産祝いの金銭的な「相場」について解説しましょう。
出産祝いの相場とされる金額は、贈る人と受け取る相手の関係性によって異なります。
身内など近しい関係になればなるほど出産祝いの金額相場も上がっていくのが一般的です。
たとえば、最も相場が上なのが親から子へと出産祝いを贈るケースで、3~5万円程度の現金が適切とされています。
兄弟姉妹なら1~3万円、姪やいとこへ贈るなら5千~2万円、友人へは5千~1万円のお金が相場です。
ちなみに、会社関係でいうと、職場の同僚など仕事の関係者へ贈る場合は5千~1万円を相場とみて品を選ぶのがよいでしょう。
生まれた赤ちゃんが双子の場合は、1人分の出産祝い金額の1.5倍の金額が一般的とされています。
贈り物の額は気持ちの問題とはいえど、高額すぎても受取り手に気を遣わせてしまうことがあります。
相手と自分の関係性を考えて、適切な額の出産祝いを贈りましょう。
出産祝いの選び方
出産祝いを選ぶ際は、なんといっても相手の立場に立って考えることが重要です。
自己満足のプレゼントをはりきって渡すよりも、相手が本当に欲しい物や必要なものを渡してこそお祝いの気持ちが伝わるでしょう。
相手の好みを把握していない場合は、直接、何が欲しいのかを訪ねてみるのも1つの方法です。
もしくは、定番のベビーウェアやタオル、必需品のおむつなども贈り物として喜ばれやすいでしょう。
相手が欲しいものをある程度自由に選んでほしい場合は、「カタログギフト」や使える店舗が多い「商品券」を贈るという手もあります。
出産祝いに添えるメッセージカードのマナー
出産祝いにメッセージカードを添えることで、お祝いの気持ちがさらに伝わりやすくなります。
注意したいのは、出産祝いのメッセージにおけるマナーです。
適切な言葉選びで、誰から見ても晴れやかな気持ちになるメッセージを添えましょう。
喜ばれやすい言葉
出産祝いに添えるメッセージには、マナーをしっかりと守った喜ばれやすい言葉を選びたいところです。
言葉選びの原則的なルールを1つ挙げるなら、「プラスのイメージがわく言葉を使うこと」でしょう。
「幸せ」「うれしい」「楽しい」「明るい」など、字面を目にするだけでもあたたかい気持ちになるような、ポジティブな言葉を効果的に使うことが大事です。
また、赤ちゃんの健やかな成長と明るい未来を連想しやすい「元気」「健康」「希望」「夢」「わくわく」「すくすく」といったワードも積極的に使いましょう。
頑張り屋さんなお母さんには、「マイペースに」「のんびり」「ゆっくり」などの言葉を使ったメッセージを贈ることで、育児のめまぐるしい忙しさを和ませることができます。
避けるべき言葉
出産祝いのメッセージとして喜ばれやすい言葉があれば、反対に、マナーとして避けたい言葉もあります。
代表例が「忌み言葉」と呼ばれるネガティブな連想をかきたてる言葉です。
たとえば、「流れる」「失う」「死ぬ」「消える」「落ちる」「破れる」など悪い結果を少しでも連想させるような言葉は慎みましょう。
「病」「弱い」「ダメ」「苦しい」「薄い」「避ける」など、母子の未来に不穏な陰をなげかけるような言葉も避けるべきといえます。
より細かく気づかうようにするなら、「死」につながる数字の「4」なども使わないようにするのが安心です。
マナーやポイントを押さえて最高の贈り物をしよう!
出産祝いは、ありったけのお祝いの気持ちを伝えるチャンスです。
その機会をパーフェクトに生かし、喜んでもらえるように、出産祝いのマナーや気を付けるべきポイントはしっかり押さえておきましょう。
その中でも、贈る「時期」は、最も気づかいが必要なポイントの1つです。
相手に負担や手間をかけないようにきめ細やかな計画にして、すてきな出産祝いを贈りましょう。