5月も下旬となり、6月に向かって段々と暑く感じる日が多くなってきました。 新型コロナウイルスも、この暑さに溶けてなくなってくれたら良いのですが、緊急事態宣言が解除されたといってもまだまだ油断は出来ません。暑くなってくると、よく目にするのがお中元。確かに、お中元という言葉はよく目にしますが、実際に贈ったことがある人はあまりいないかもしれません。今回は、お中元の基本的なマナーと、贈る時に悩むギモンを解説していきます。これまであまり触れることがなかったお中元という習慣も、結婚して家族が増えると突然受け取ることや贈らなければいけない時が来るかもしれません。これから良好な人間関係を築いていくためにも、今のうちにしっかりと理解しておくと安心です。
お中元ってなに?
夏が近づいてくると、お中元という言葉をよく目にしますよね。
「夏の元気なご挨拶」と言うCMが流れていたように、お中元とは、日頃お世話になっている人に対して、夏の挨拶と一緒に感謝の気持ちを込めて贈るギフトです。
お中元のルーツは、日本かと思いきや、実は中国の文化からきています。
中国では、1月15日を上元、7月15日を中元、10月15日を下元と呼び、これら「三元」を厄を払う日として重要視されてきました。
このうち中元は「死んだ人の罪を贖う贖罪の日(罪を償う日)」ということで、現在も中国では祖先の供養とともに行われています。
日本では、8月がお盆ですよね。
お盆も中国と同様に、日本では祖先を供養する日としてお墓参りなどご先祖様を供養しています。
中国の“中元”という文化が日本に伝わると、そんな日本のお盆と相まって少しずつ内容が変化していき、現在のような「日頃お世話になっている人へ感謝の気持ちを贈る習慣」として定着していきました。
お中元とセットで「お歳暮」という言葉も聞くでしょう。
中にはお中元とお歳暮を勘違いしている人もいるかもしれませんね。
お歳暮は、日本で昔から伝わる習慣だと言われています。
お歳暮は、年末に行われる先祖を祀るための行事におけるお供え物として贈られていました。
今ではそれが時代とともに形を変えていき、日頃お世話になった人へ一年の感謝を伝える贈りものをする行事として定着していきました。
お中元は夏、お歳暮は年末に贈りものをする習慣だと覚えておくと良いですね。
お中元は絶対に贈らないといけない?
お中元は、日頃お世話になっている人に感謝の気持ちを伝える習慣だとお話しました。
お世話になった人、特に目上の人に贈る事が多いお中元ですが、ビジネスシーンでは取引先からお中元をもらうことも多いでしょう。
お中元は、必ずしも贈らなければいけないというわけではありません。
その上、突然贈ると、受け取った人に気を遣わせてしまう可能性もあります。
しかし、お中元という習慣は、普段はなかなか会う機会がない人とつながることができる素敵な習慣です。
今年は、新型コロナウイルスの影響で、人と人が直接会う機会を奪われました。
親戚のおじさんやおばさん、おじいちゃんやおばあちゃんに会いに行くはずだったゴールデンウィークも、全国的に自粛ムードでステイホーム週間となり、おうち時間を過ごしましたよね。
なかなか会えないからこそ、お中元で思いを伝えるのも良いかもしれません。
お中元を贈る時の基本的なマナーを知ろう
ここでは、お中元を贈る時の基本的なマナーを紹介します。
あまり堅苦しく考える必要はありませんが、いざ贈るとなると迷ってしまうこともあるでしょう。
最低限のマナーを押さえて、恥ずかしくない贈り方をしましょう。
贈る時期は?
夏が近づく=お中元の季節と言われますが、具体的にはいつ頃贈るべきなのか迷ってしまいますよね。
お中元を贈る時期は、実は東日本、西日本で違います。
地域によって送る時期が違うので、贈る相手の住んでいる地域によって確認する必要があります。
東日本では7月初旬から7月15日まで、西日本では7月中旬からお盆前の8月15日までに贈るのが一般的です。
地域によって送る時期が違うお中元ですが、特に沖縄県はどの都道府県とも異なるので注意が必要です。
沖縄県は、今でも旧暦で行事が行われることが多く、お中元も毎年旧暦の「7月13日~7月15日」の旧盆にあたる3日間となっており、その期間中にお中元を贈るのがマナーとされています。
旧暦で数えるため、毎年日付が変わることも注意しましょう。
沖縄県へお中元を贈る場合は、旧暦のカレンダーでお中元の時期を確認しておくと良いでしょう。
相場はいくらくらい?
お中元の相場は、贈る相手によって違ってきます。
親戚などに贈る場合は3000円程度、取引先や上司に贈る場合は5000円程度が相場です。
しかし、特に日頃お世話になっている人に対しては、10000円程度のものを贈る人も多いようです。
例えば、仕事の間、子供を預かってもらっている祖父母や義理の両親の実家には、10000円程度のお中元を贈る場合が多いようです。
相手との関係性によっても相場が変わってきますが、相手に気を遣わせない程度で気持ちが伝わる贈りものを選ぶと良いでしょう。
お中元ギフトに掛ける熨斗は?
お中元の贈りものは、日頃の感謝の気持ちを伝えるあらたまったギフトなので、熨斗(のし)を掛けて贈ります。
お中元の場合、熨斗紙は紅白蝶結びを使用します。
熨斗の上部(のし上)には、「御中元(またはお中元)」と書き、熨斗の下部(のし下)には、送り主の名前を書きます。
渡す相手の人の名前を書く人がいるようですが、のし下には送り主であるあなたの名前を書きましょう。
のしには、包装紙の内側に掛ける「内のし」と、包装紙の外側にかける「外のし」とがあり、お中元は一般的に「外のし」とされています。
外のしは、表書きが贈る相手にはっきりと見え、どんな目的で贈ったかが明確に即座に伝わるので、お祝い用途やお中元、お歳暮などのご挨拶用途で使用されます。
のしの掛け方も地域によって違うので、贈る相手が住む地域の掛け方を確認すると良いでしょう。
郵送でお中元を贈る場合は、熨斗が破れたり汚れたりするのを防ぐため、内のしで掛けると良いですね。
今さら聞けない!?お中元のギモンを解決!
お中元の基本的なマナーを押さえたら、次に知りたいのが「これってどうなんだろう」という素朴なギモンです。
今更聞けないような基本的なギモンから、慣れている人でも迷いがちなギモンまで、解説していきます。
お中元と暑中見舞いは違うもの?
夏のご挨拶といえばお中元ですが、暑中見舞いも夏のご挨拶なので、「どう使い分けたら良いのだろう」と思う人もいるでしょう。
「今贈るのはお中元?暑中お見舞?」と、届く時期が微妙な時期になると余計迷う人も多いかもしれませんね。
そもそも、お中元と暑中見舞いの由来からはっきりと違いがあります。
暑中見舞いは、年賀状と同じく、季節の挨拶状であり、由来はお盆になります。
暑中見舞いは、お盆の習慣が簡略化され、お世話になった人に贈りものやはがきを贈るようになったことで生まれたとされています。
また、先ほども説明したとおり、お中元の時期は地域によって違いがあるのが特徴です。
一方、暑中見舞いは、地域に関わらず小暑(しょうしょ)から立秋(りっしゅう)までと言われています。
毎年決まった日になるわけではありませんが、だいたい7月7日~8月7日前後になることが多いです。
小暑が7月7日前後だと、お中元の時期とかぶりますよね。
したがって、8月1日頃のお中元の時期が過ぎた頃から立秋の頃までに贈る場合、暑中見舞いとして贈ると良いでしょう。
ちなみに同じような季節の挨拶に「残暑御見舞い」という言葉があります。
立秋から8月末までに贈る場合には、残暑見舞いとして贈ると良いでしょう。
お中元をもらったらどうすればいい?お返しは必要?
お中元を頂いたら、まずはお礼を伝えましょう。
電話で伝えるのもベターですが、できればお礼状として贈るとより丁寧です。
お中元は、目上の人や上司、お世話になっている人に贈るのが一般的なので、基本的にはお返しは必要ありません。
それでも、なにかお返しがしたいという場合は、半額程度の品物を選ぶと良いでしょう。
その場合も、熨斗を掛け表書きには「御中元」と書きます。
こちらも、時期によっては「暑中御見舞」「残暑御見舞」と書きましょう。
お中元は、贈ると決めたら基本的には毎年贈るギフトです。
思い立ったように贈るものではないということを覚えておきましょう。
したがって、お中元のお礼を贈る場合で一度だけの感謝の気持ちを表したい場合は、「御礼」もしくは「無地のし」で贈りものをすると良いでしょう。
相手が喪中の場合は贈らないほうがいい?
お祝いや内祝いの場合で相手が喪中の場合、四十九日が過ぎた頃に「祝」という字を使用せずに「御礼」という言葉で贈るなど、気をつけなければいけない事がありますが、お中元はお祝い事ではないため、贈る側や受け取る相手のどちらかが喪中の場合でも贈ることが出来ます。
しかしながら、贈る時期が忌明け前の場合は、四十九日が過ぎた頃に時期をずらし、暑中見舞いとして贈るなど配慮があると良いでしょう。
また、その場合は紅白蝶結びの水引は避け、短冊のしなどで贈りましょう。
お中元にはどんな贈りものが選ばれる?
お中元は暑い季節に贈るギフトなので、暑い夏を快適に過ごせるアイテムや涼しくしてくれるアイテムが人気です。
例えば、アイスクリームや見た目も涼しい果物が入ったゼリー、夏のフルーツやそうめん、お酒ではビールが人気です。
冷やして飲めるドリンクギフトもいいですね。
子供がいる家庭への贈りものでは、小さい缶のバラエティギフトもおすすめです。
他にも、冷たいビールがすすむおつまみや、夏に食べたいグルメギフトも喜ばれます。
お盆の季節に贈る場合は、家族で囲めるスイーツギフトももらって嬉しい贈りものですね。
なかなか手に入らないようなお取り寄せスイーツや、ご当地グルメも人気です。
鰻などの夏バテ防止のためのスタミナグルメも良いですね。
新型コロナウイルスの影響で発足されていた緊急事態宣言も解除となりましたが、今年の夏は、まだまだ遠出や旅行なども気をつけなければいけません。
暑い季節におうち時間を快適に過ごせるようなギフトを選んで贈りたいですね。
もらって嬉しいギフトを選んで夏の元気なご挨拶をしよう
いつもは感じることがなかった人と人とのつながりでも、今年は特に感じる人も多かったのではないでしょうか。
なかなか会えないからこそ、贈りものを通して「元気かなぁ」「会いたいなぁ」という想いを伝えてみましょう。
これが会いに行くきっかけになったり、また違った人間関係が築けるかもしれません。
お中元を贈る時は、インターネットの通販サイトを利用しましょう。
アイスクリームやハムなどのナマモノも、送り先を贈りたい相手に指定すれば、ギフトとして贈ってもらえます。
また、適切な熨斗や包装をしてくれるので、お中元を贈ることが不安な人も安心です。
コロナに負けず、暑さに負けず、会えない時こそしっかりと心は繋がっていたいですね。